2021年10月10日(日)東大阪市文化創造館 大ホールにて開催された演奏会のプログラムよりご紹介いたします。
第10回演奏会 2021年10月10日(日) 東大阪市文化創造館 大ホール |
「メサイア」 〜いざ、大いなることを歌おう〜 Messiah HWV.56 G.F.Händel |
指 揮/本山 秀毅 |
ソプラノ/ 乃村 八千代 |
アルト/小林 あすき |
テノール/坂東 達也 |
バス/武久 竜也 |
合唱指導/中村 貴志 |
アシスタント/ボイストレーナー/杉田 結里 |
合唱/LA FENICE |
管弦楽/大阪チェンバーオーケストラ |
原語指導・字幕/三ケ尻 正 |
入場料3000円 |
ごあいさつ
ANKAA代表 中田佳代
本日はご来場くださいまして心よりお礼申し上げます。この演奏会は世界中に蔓延するコロナ感染拡大による影響により2020年6月28日から2021年4月17日に延期、再度の延期で本日、開演することが実現しました。
活動停止を繰り返し先の見えない中、目標を作る事すら悩みましたが、「合唱団」という存在を存続させるためにも「延期」とし、今日の演奏に繋げる事が出来ました。これも事務局に惜しみなく助言や協力してくださった先生方、そして、休団中は団員の言葉に力をもらい、再開の折には「またFENICEで歌いたい」と集まった団員達が居たからこそ、本日があることを実感しております。それぞれの事情で全員が舞台の上に戻って来てはいませんが、その団員の為にも『歌う場所を守っていく』という事はコロナ禍で改めて感じた一面でした。「団が存在」する事も重要だと知った出来事でした。
休団中も「発声体操」「曲毎の解説と指揮動画」を先生方に動画作成していだき、各自の勉強素材やリモート練習等で「今出来ること」を繋げていく事が出来ました。初回演奏会予定日だった6月28日には「ハレルヤ」のリモート動画の発表、4月17日には本番予定の舞台で練習も開催しました。練習再開の折には感染対策に注意し、不自由な中でも「歌う事」の幸せを噛みしめながらギリギリまで練習を重ねてまいりました。たくさんの方のご協力、援助をいただき本日を迎える事が出来ました事は本当に有難く感謝ばかりでございます。
本日の演奏は10年間の積み重ねでもあり、コロナ禍の時期を耐え抜き、成長を続ける「LA FENICE」の成果をお楽しみいただきたいと思います。たくさんの感謝を込めて。
現代に生きるメッセージを目指して
指揮・合唱指導 本山秀毅
本日はようこそご来場下さいました。まだまだ厳しい日々が続く中、ご来場を心から感謝申し上げます。
この演奏会も、例にもれずコロナ禍に振り回されながら紆余曲折の末、今日の日を迎えることとなりました。関係者の皆さんが開催の可能性を懸命に探られた結果が今日の日につながりました。この団体の名称「フェニーチェ」はイタリア語で「不死鳥」の意味で、まさに復活を果たした成果と言うことが言えるでしょう。
「復活」と言えば、本日のプログラム、ヘンデル「メサイア」も、キリストの生涯を主題とした一大叙事詩であり、日本では年末に演奏される機会が多く降誕の場面がクローズアップされますが、「ハレルヤ」に象徴される受難から復活への展開、そして復活の真の意味を問う3部のアリアには、未だかつてない困難に直面し続ける私たちが、この状態からの復活の日を思う気持ちと重なります。
また有名なソプラノのアリアにおいて歌われる「平和」は、非常に複雑な音調を持っています。本来喜びに溢れた「平和」が、キリスト教的には「主の受難」を通して得られたものであることに由来していますが、私たちが現在求めている「安穏」が、決して容易に得られないものであることと共通点があるように思うのです。
このように、博物館の陳列品としての名作ではなく、私たちが日常の思いを作品に託して聴衆の皆さんに訴求する。そのような「現在に生きるメッセージ」を伴う演奏を目指したいと思います。どうか最後までごゆっくりお楽しみ下さい。
人間の有り様と祈りを
合唱指導 中村貴志
本日はLA FENICEの第10回記念演奏会にお越しくださいまして、誠にありがとうございました。
当初、この演奏会はLA FENICEが創立10周年の節目となる昨年の6月28日に開催される予定でした。しかし、本番に向けて追い込みという段階で新型コロナ・ウィルス禍になって活動を休止、演奏会も延期を余儀なくされました。その後、活動を再開するも、度重なる緊急事態宣言で思うように練習を重ねることができず、今年4月17日に予定していた振替公演もまた延期となってしまいました。こういった経緯で迎えた今日、皆様の前で演奏できることにこの上ない喜びを感じています。
合唱は新型コロナ・ウィルス禍で非常に厳しい状況に置かれています。しかし、LA FENICEの団員たちはめげることなく、諦めることなく、この状況下でもできることを着実にやり、前進してきました。まさにこの合唱団の名前、不死鳥のごとく、度重なる休止でも絶えることなく音楽を紡ぎ続けています。団員たちのこういった姿に接し、何度心を打たれたことか。容易く乗り越えられないであろう新型コロナ・ウィルス禍の中、この不死鳥は次に向けてさらに高く羽ばたき、未来に向けて音楽をつないでいくことでしょう。
LA FENICEとの出会い
アシスタント・ボイストレーナー 杉田結里
<本演奏会のプログラムに掲載する予定が落丁してしまいました。お詫びして掲載させていただきます。>
LA FENICE との出会いは5年前。
本山先生と共に「いのちのうた」を聴きに行った時でした。
それから初めて取り組んだ曲が『天地創造』
個性豊かなメンバーは、FENICE以外にも歌う場を持つ人がいて声も個性豊かでした。
最初は代表の中田さんの提案で、全員の声を聞いてアドバイスをするというもの。
60〜70人はいるメンバーを1人数分ずつ…。
軽く挨拶を交わしたら、今までの合唱歴を聞きながらその人の悩みに繋がる話を探したり、声を聞いてその人の声の出し方からクセを見つけたり。
全体の指導やパート毎や個々に声をみたり、はたまた発声講座のようにテーマを決めてレッスンをしたり。
こうして『天地創造』→『モツレク』→『ヨハネ受難曲』と経て、今回は『メサイヤ』
ところがコロナ禍で練習は中止を余儀なくされ、自宅でも練習出来る様にと体操や発声の動画を配信したりしましたが、残念ながらそれ以降はメンバーの顔を見ていません。
世の中がコロナとうまく付き合いながら動き始めたころ、練習も少しずつ再開し、2回の演奏会延期を経て今日に至ります。
演奏会実施を決めた時と状況は変わりましたが、FENICEの歌に対する熱い情熱は変わらずそこにある、と本日の演奏を聴いていただければきっと感じることができるはずです。
奇しくも第10回記念演奏会の運びとなり、こうしてお客様の前で演奏できる素晴らしい機会となりしたことは大変喜ばしく、ここまで引っ張ってこられた中田さんをはじめ、メンバーの皆さまには敬意を表しますと共に、ご来場の皆さまには深く感謝いたします。
どうぞ様々な想いを汲み取っていただきながら、ごゆっくりとお楽しみください。